遍照寺の灯籠流し
京都市右京区嵯峨広沢町にある「広沢池(ひろさわのいけ)」。全周約1.3km、東西南北それぞれ約300mの大きさを持ち、日本三沢のひとつにも数えられるこの「広沢池」では毎年8月16日になると、お盆の精霊送りの行事として「灯籠(とうろう)流し」がおこなわれている。大きな池一面に色とりどりの流し灯籠を浮かべ、ご先祖様の霊をお送りしている。去年の夏も約1800基が浮かべられ、幻想的な雰囲気の中、赤・白・黄・青・紫の五色の灯篭が水面にゆらめいた。
平安時代末期に編さんされた説話集「今昔物語」には、そんな寛朝僧正にまつわるエピソードが収められている。陰陽師・安倍晴明が広沢の寛朝僧正を訪ねた折の出来事。晴明が呪術とともに蛙(かえる)に草葉を投げかけると途端に蛙が潰れて死んでしまったというはなし。他にも、寛朝僧正が強力(ごうりき)であり、盗人を蹴り上げただけで、仁和寺の門の棟にめり込ませてしまったというはなしがある。
広沢池と遍照寺。その歴史ある意外な関係性を知り、新しい発見のあったひとときであった。