京町家と北欧ジュエリーの素敵な関係

 京都市寺町京極商店街にある北欧ジュエリーショップ「Melumo putiikki」(メルモプティッキ)。もともとは、京町家であったであろう、アーケードに面した建物の改装事例である。 
 
 いろいろな改装における工夫を取り入れながら、先日無事にオープンの運びとなった。フィンランドのアクセサリーを中心に販売を行う接客店舗空間を、京町家の2階部分に計画。京町家特有の小屋裏にある力強い丸太梁(ばり)を大胆に見せつつ、北欧特有のシンプルかつ柔らかみのある造形美が、ナラ材やトガ材を中心にしたコーディネートで上品に演出されている。
 
 吹き抜け部分のシャンデリアは、ヘルシンキ・メイラハティの教会にあるシャンデリアを参考に今回特別に製作したもの。イエス・キリストがかぶった冠をイメージしてデザインされている。アーケードに対しても、よく見えるよう視線設計を行い、街路に対しても、にぎわいを創出するひとつの装置としての機能も計画されている。
 
 今まで、数多くの町家再生を手掛けてきたが、今回特筆すべきは、ジュエリーショップ特有の、いわば”煌(きら)めきの創出”ともいうべき、空間の設計デザインである。京町家のもつ独特の架構(かこう)の美しさと、漆喰(しっくい)や木目の持つ自然素材が持つ美しさをかけ合わせ、スポットライトを中心に微妙な陰影の表現をおこなった。中央部分にはガラスケースを大胆に配置することにより、光の拡散効果を狙いながら”きらめきの創出”に寄与している。
 
 これからの京町家再生とって、大きな空間再生の手応えを感じたプロジェクトであった。