京都におけるBook&Cafeの新潮流

 首都圏を中心に近年多く見られる「Book&Cafe」スタイルの書籍店。書籍売り場と併設して喫茶スペースを設けることにより、くつろぎながら、読書を楽しむことのできる空間として、最近、全国的に広がりを見せつつある。 
 
 京都においても、今月5日、”学生の街”左京区高野に「大垣書店&cafe」(高野店)が誕生し、本格的な「Book&Cafe」スタイルの書籍店が開店した。約100坪の書籍売り場には、さまざまなジャンルの書籍が幅広く取りそろえられ、併設された喫茶スペースには約50席のカフェを楽しむことのできる空間が整備されている。
 
 京都で始めての本格的な「Book&Cafe」を計画するにあたり、心がけたのは「居心地のいい空間づくり」。人の動きが活発となりがちな、書籍空間とのゆるやかな分離を図りながら、落ち着いて読書をすることのできるカフェ環境の構築に務めた。
 
 明るくモダンデザインでまとめあげた書籍売り場とは対照的に、柔らかな光の照明や間接照明を効果的に使用しながら、天然木の持つぬくもりを肌で感じることのできる喫茶スペースを計画し、外部にはウッドデッキも整備した。
 
 北欧デザインを随所に取り入れながら、家具やサイン・ディスプレーに至るまで工夫を凝らし、読書のための時間と空間のデザインともいうべき、やすらぎとぬくもりのある喫茶スペースが誕生した。
 
 新しい潮流ともいえる「Book&Cafe」。これからの、地域に根ざした書籍店のありかたを考えさせられた印象的なプロジェクトであった。