京都の文化を五感で感じる

先日、四条花見小路下ル、祇園甲部歌舞練場前にある「津田楼」を訪れる機会に恵まれた。

元々はお茶屋であった、歴史のある京町家を改装して、現在は、歴史ある京の文化・日本の文化を五感で感じることのできる施設として、装いも新たに平成22(2010)年にリニューアルオープンしている。

幕末の頃より、四条川端にてお茶屋を営んでいた「津田楼」は、大正2(1913)年、現在の場所に移転し、以来約100年間この地で歴史を重ねている。1階部分の大座敷はレストランバーとして改装され、軽食から懐石料理まで幅広く「食」を愉(たの)しみながらくつろぐことのできる空間として上質なしつらえが施されている。メーンカウンターには樹齢500年のケヤキの一枚板が使用されており、古いお茶屋の雰囲気をうまく生かしながら落ちつきのあるモダン和風のスペースが構築されている。

また「津田楼」では、美術品を間近で鑑賞することのできる講座や古筆を楽しむ教室など多彩なイベントや文化サロンが開催され、日本の文化や伝統の良さを肌で感じることのできるさまざまな情報発信が四季を通じて行われている。また館内には、日本で初めて幕末・明治の金工、七宝、蒔絵(まきえ)、京薩摩を常設展示した美術館として知られる清水三年坂美術館セレクトによる古美術品が展示・販売され、繊細な名品の世界を身近に楽しむことができるようにもなっている。

京都の伝統的な建物をうまく再生しながら京都の文化を現代に伝える。お茶屋であった京町家にたたずみながら、京都の風情を五感で感じることのできたひとときであった。